廃業届の出し方とは?飲食店に必要な手続きや注意点も解説
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飲食店や小売店などを営む個人事業主が廃業の決断をした際、どのように手続きを進めれば良いのか分からない人もいるでしょう。それまで付き合いがあった従業員や取引先に迷惑がかからないような配慮も必要です。特にカフェや居酒屋などの飲食店の場合は、来店客への影響を考え慎重に行いたいものです。
今回は、個人事業主が廃業届を提出する際に必要な手続きや注意点をはじめ、飲食店特有の手続き方法についても解説します。
目次
廃業届とは
廃業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、廃業届は個人事業主が事業を廃業する際に提出する届出です。事業を廃業する場合は、廃業届の準備や出し方を事前に確認しておくと良いでしょう。
書類は、国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。また、税務署で取得することもできます。手続きに不安がある場合、税務署で直接質問できるので安心です。
廃業届の出し方
廃業届は、廃業した日から1カ月以内に事業を所轄している税務署へ提出します。提出期日が土日祝日の場合は翌日が期日になるので、カレンダーで期日を確認して遅れないように提出しましょう。
廃業届には複数の提出方法があります。書面での郵送、税務署への持ち込みのほか、国税庁が運営するe-Tax(国税電子申告・納税システム)でも提出可能です。また、廃業届の提出には費用はかかりません。
廃業届の提出方法
- 書面での郵送
- 税務署への持ち込み
- e-Tax(国税電子申告・納税システム)
廃業届以外に必要な書類と手続き
そのほかにも以下のような書類と手続きが必要です。
青色申告の取りやめ届出書
青色申告をしている個人事業主に必要な届出です。提出期日は廃業日の翌年3月15日までです。廃業届と同じタイミングで提出するのが望ましいでしょう。
事業廃止届出書
消費税を納税している事業者は、事業廃止届出書を税務署へ提出します。廃業後すみやかに提出する必要があるため注意が必要です。書類は国税庁のホームページからダウンロードできます。
参考:事業廃止届出手続|国税庁
各都道府県税事務所への廃業の届出書類
各都道府県の担当所へ廃業の届出を提出します。使用する書式や提出先は、都道府県税事務所のホームページで確認してください。
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申告書
廃業した場合、予定納税額の減額を申告できます。手元に資金を残しておくために有効な手段ですので、ぜひ申告しましょう。申告の目安は次の2点です。
- その年の6月30日に算定された申告納税見積額を基礎とした、予定納税基準に満たないと判断される場合
- その年の10月31日の時点で、すでに受けている減税の承認の根拠となる申告納税額に満たないと判断される場合
【予定納税額の減額申告における日程】
- その年の7月1日~7月15日:第1期分および第2期分
- その年の11月1日~11月15日:第3期分および第4期分
参考:A1-3 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続|国税庁
給与支払事務所等の開設・移転・廃業届出書
給与を支払っている事業者のみ提出が必要です。所轄の税務署へ提出しましょう。提出期日が廃業の事実から1カ月以内です。
雇用保険適用事業所廃止届の提出
雇用保険適用事業所廃止届は、事業所を所轄するハローワークに提出します。雇用保険の被保険者だった全従業員の「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」も必要です。
書類の取りまとめには時間がかかる場合も想定されます。雇用保険は従業員が次の職場でも加入する場合、引き継ぐ必要がある重要な書類ですので、余裕を持って手続きしましょう。
健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届の提出
健康保険や厚生年金保険を管轄している年金事務所へ廃業から5日以内に提出します。従業員が新しい職場へ移る際には健康保険や厚生年金保険の切り替えが必要なため、迅速に対応しましょう。
労働監督基準署へ申告する
労災保険に加入していた場合は、「労働保険確定保険料申告書」を廃業から50日以内に労働監督基準署へ提出しましょう。すでに保険料を見込みとして申告、納付していた場合は概算保険料の清算が必要です。
従業員へ告知する
いつ廃業するのか従業員に早めに告知しましょう。従業員がその後の生活を維持できるよう、再就職先を探す期間を設けてください。
従業員と円満に話し合いを進めて廃業する姿勢が大切です。店舗経営者の評判はどのように広まるか分かりません。不誠実な対応だと従業員に思われてしまうと、良くない噂が立つ場合があります。雇用主は従業員に対して責任を持って対応しましょう。
取引先や金融機関へ連絡する
廃業が決まったら取引先に連絡しましょう。急に大口の取引が終わってしまうと取引先も困るため、廃業に向けて徐々に発注を減らすなど配慮するのが理想です。事業で利用している金融機関への連絡も必須です。
飲食店廃業で必要な手続き
これまでの手続きは、飲食店に限らない全ての業種で必要とされる手続きです。
飲食店では一般的な廃業手続きに加えて、次のような手続きも必要となりますので注意しましょう。
保健所への連絡
保健所に廃業届を提出し、飲食店営業許可書を返納しましょう。書式や期限などは管轄の保健所によって異なるため、早めに確認してください。
消防署へ連絡
消防署へ「防火管理者解任届出書」を提出します。防火管理者解任の日付は廃業日を記載しましょう。期日は定められていませんが、提出漏れを防ぐためにも、廃業したらすぐに提出するのが無難です。
警察署へ連絡
夜に酒類を提供していた場合は、警察に提出済みである「深夜酒類提供飲食店開始届」の「廃業届」を提出しましょう。風俗業を営んでいた場合は、風俗営業許可書と返納の理由書を警察署へ届け出る必要があります。
期限は、いずれの書類も廃業から10日以内のところが多いです。
廃業手続きを進めるうえでの3つの注意点
廃業手続きを進めるうえで、注意点が3つあります。いずれも廃業手続きに欠かせないポイントですので、確認しながら手続きを進めてください。
廃業した年の確定申告
廃業した年の確定申告は必要です。確定申告は、その年の1月1日~12月31日までの期間の収支や経費をまとめます。事業の廃業日が年の途中であっても期間は変わりませんので、廃業するまでの期間の収支や経費は必ず申告しましょう。
借入金の確認
廃業の際に借入金がある場合は、個人の借金として手元に残ります。
借入金を少しでも減らして廃業をしたい場合は、店舗売却をする手もあります。以下の記事をご覧ください。
書類の提出や手続き
前述のとおり、廃業にはさまざまな書類を提出したり、手続きをしたりする必要があります。書類の用意や提出、手続きは煩雑に思えるかもしれませんが、手続きに漏れのないよう注意深く対応しましょう。
廃業届以外にも必要な手続きや書類をしっかり把握しよう
個人事業主が廃業を決断するのは容易ではありません。しかし、いったん廃業を決断したら、必要な手続きを洗い出し、速やかに進めることが重要です。事業で関わってきた取引先や従業員と円満な関係で廃業日を迎えられるよう、抜け漏れがないように早めに準備を進めましょう。
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