飲食店で外国人を雇用するには? 就労状況やメリット、注意点を解説
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飲食店での人手を確保するために、外国人の雇用を考えている経営者や採用担当者もいるかと思います。そもそも、外国人の雇用は日本人の場合とどのように違うのでしょうか。
現在の外国人雇用の状況や、外国人を雇用するメリットを確認しておくと、雇用する際の戸惑いが軽減されるでしょう。今回は、外国人を雇用する際に押さえておきたいポイントをまとめました。
目次
日本の外国人雇用状況
日本での外国人雇用状況を見てみましょう。外国人の労働者は、日本でも貴重な労働力です。また特定技能2号の拡大により、今後更に外国人材雇用は拡大する可能性は高いでしょう。外国人労働者に活躍してもらうためには、彼らが置かれている状況を理解する必要があります。
外国人労働者も、外国人を雇用する事業所も年々増加
日本での外国人労働者は年々増加しています。外国人の雇用が増加しているのにはどのような背景があるのでしょうか。2023年1月に厚生労働省が発表した『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)』によると、以下の状況です。
外国人労働者数
- 182万2,725人(2022年10月末)/前年比9万5,504人増加
前年比の数字を見ても、外国人の雇用人数が大きく増加していることがわかります。また、「外国人雇用状況」の届出が義務化された2007年以降、過去最高を更新しました。
外国人を雇用する事業所数
- 29万8,790所/前年比1万3,710所増加
これらのデータから、外国人労働者も外国人を雇用する職場も年々増えていることが分かります。
日本政府も外国人の就労を支援
政府も外国人の就労支援に取り組んでいます。「外国人雇用対策」として、日本に入国・在留している外国人の就労を促進し、ハローワークなどに専門の相談員や通訳がいるコーナーを設置しています。
日本に入国・在留している外国人の就労が不安定な状況である点を考慮し、政府として外国人が安定した就労ができるよう対策を打ち出しているのです。
また、2023年6月9日の閣議決定により、特定技能2号に相当する対象分野が追加されたことで、今後外国人就労者はさらに増える見込みと言えるでしょう。
外国人を雇用するメリット
外国人雇用では、日本以外の文化で育ち価値観の異なる外国人材を受け入れる姿勢が必要です。ですが外国人雇用には次のようにメリットも豊富にあり、検討する価値があると言えます。
人手不足を解消できる
少子高齢化が進む日本では、人材不足が大きな課題です。求人を出しても応募が来ないのは、単純に日本人の労働人口が不足している現状が関係しています。外国人の雇用は人材不足を解消する一手となるでしょう。
求人を出しても応募者が来ない状況が続くと、人手不足が慢性化し、現在働いている従業員への負担も増えます。人手不足の解消は、従業員が気持ち良く働ける環境づくりにもつながるのです。
なかなか応募がない場合は、外国人雇用を検討してみると良いでしょう。
外国人の顧客に対応できる
外国人を雇用すれば、外国人に対して多言語でのサービスが可能です。特に観光客が多い地域や、飲食業、宿泊業では、日本語以外で対応できるスキルが重要です。地域によって異なる嗜好(しこう)や文化への理解にも役立ち、適切な接客やメニューの提供につながるかもしれません。
外国人へのサービスが向上すれば、飲食店や宿泊施設の好評価にもつながり、評価が高ければそれだけ来店数・来客数が増加します。サービスを充実させるためにも外国人雇用を検討しましょう。
グローバルな価値観を取り入れられる
外国人は日本人にはない視点や価値観を持っていることが多く、外国人労働者から新しいアイデアを取り入れられる可能性があります。現状のサービスを大きく変えたいときや、違った視点でのアイデアがほしいときは、外国人労働者のグローバルな視点が役立ちます。
事業拡大への足掛かりになる
海外進出や、海外との取引を考えている場合、外国人の雇用は戦力になります。海外との取引では、言語の壁をなくしておく必要があります。また、ビジネスマナーも日本とは異なる場合があるでしょう。
日本側と海外の取引先との間の調整役として外国人材に活躍してもらえれば、スムーズに話が進められる可能性が高まります。
外国人雇用の人材を事業の戦力にすると、ビジネスを展開する際の幅がぐっと広がることに期待できます。
豊富な人材の中から、まとまった数の労働者を雇用できる
さまざまな経歴の人材の中から、事業主(雇用側)が求める人物に出会う確率が高くなります。新規オープンや事業拡大にあたって、まとまった数の労働者を雇用したい場面で、外国人を雇用するのは一つの手です。
一人でも多くの外国人労働者を雇用するには、外国人でも理解しやすいマニュアルに調整し、研修体制を整備する必要があります。外国人労働者を受け入れた際の業務におけるパニックを少なくし、円滑に業務を進めるために必要な準備です。外国人の人材を受け入れる際には事業主側の配慮も必要です。
高時給だけに頼らず採用確率を上げられる
採用の対象を日本人に絞ると、少子化で労働人口が減少しているため採用の難易度が上がります。人材を採用するために時給を上げる必要があると考える事業主もいるでしょう。
しかし、外国人採用で対象を広げることで、時給を上げる以外の選択肢が選べます。高い時給で他店との差別化を図る必要がなく、人件費の高騰を抑えられるでしょう。
外国人を雇用する際の注意点
メリットが多い外国人雇用ですが、文化や価値観の違いには十分に配慮が必要です。不要なトラブルを避けるためにも、以下の注意点を念頭に置いておきましょう。
文化の違いを意識しておく
日本人の雇用では、「あたりまえ」「言わなくてもわかる」ことが、外国人には理解できない場合もあります。外国人が理解できないのは本人の責任ではありません。外国人労働者の疑問や戸惑いへのフォローが足りないと、業務に支障が出る場合もあります。
まずは、外国人労働者に日本の文化を理解してもらうことが必要です。外国人労働者がスムーズに仕事ができるよう、受け入れ態勢を整備しましょう。
コミュニケーションのすれ違いに留意する
外国人労働者は、日本語でのコミュニケーション能力に差があります。人材を採用した後も、外国人労働者がどの程度日本語を理解していてコミュニケーションがとれるのか、見守りながら配慮する必要があるでしょう。コミュニケーションのすれ違いから同僚や顧客と衝突したり、指導に時間がかかったりする場合が考えられます。
雇用する人材の資格を確認する
外国人材を雇う場合、在留資格が「技能実習生」か「特定技能」どちらにあたるか確認が必要です。
技能実習生
日本で技術を習得して母国に持ち帰り広めてもらうための制度です。入国前に特定の技能を習得する必要がなく、「就労」を目的としているわけではないため、単純労働ができないなど、依頼できる業務の範囲がある程度決められています。
特定技能
日本の人手不足を補うための制度で、就労する分野の知識が一定以上あることが条件のため即戦力となりやすいです。
雇用手続きを確認する
日本人に比べて外国人の雇用手続きは非常に煩雑です。雇用の手続きをご自身でされる方もいますが、在留資格や必要な手続きをよく確認しておかないと、不法就労につながる可能性もあります。
- 不法就労をした場合
(例)外国人本人だけでなく、雇用した事業主にも最長3年の懲役、最大300万円の罰金が課せられる。
そのため、外国人の雇用には専門家の力を借りることをおすすめします。厚生労働省が行っている「外国人雇用管理アドバイザー」は、外国人の雇用について、ハローワークでアドバイザーに相談を受けられるサービスで、利用料は無料です。
また、TRNグループでは、外国人材と人材を募集している企業の仲介として、外国人材には求人紹介や就職相談を、人材募集企業には優秀な外国人材を紹介する「外国人材採用支援」のサービスを提供しています。飲食業において一定の知識、または経験を持つ特定技能の資格保有者のみをご紹介するため、即戦力の採用となることが期待できます。
飲食店の外国人雇用は入念に準備しよう
外国人を雇用することは、人材不足の解消や外国人向けサービスの強化につながることから、積極的に検討したいと考える飲食店は少なくないでしょう。しかし、外国人を雇用する際は、在留資格の確認を含む煩雑な手続きが必要なため、事前の情報収集と入念な準備が欠かせません。また、外国人労働者がスムーズに職場に適応し、業務を円滑に行えるように、日本人とは異なる配慮が必要です。
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