飲食店の閉店で損を出さないためには? 得をする閉店方法について
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経営状況が悪化したり、体調を崩して店舗運営が困難になるなど、閉店を検討する理由はさまざまです。そして閉店する場合は、できる限り損をしたくないと考えるでしょう。次の店舗展開を検討している場合は余力を残しておきたいですし、引退を考えているならば、今後の生活資金は少しでも多く手元に確保しておきたいものです。今回は、飲食店閉店の概要と、閉店するときに知っておきたい損を出さない方法を解説します。
目次
飲食店の閉店と廃業の違いについて
飲食店の閉店と廃業はいずれも事業を終了する行為ですが、手続きや法的な要件が異なります。両者の違いを解説します。
飲食店の閉店とは
飲食店の閉店とは、ある店舗を閉鎖することです。1店舗のみの事業の場合には廃業・倒産を意味することもあります。事業自体を継続させる閉店の場合、適切な行動は以下のとおりです。
- 閉店の決定
- 顧客とスタッフへの通知
- 在庫、備品類の整理
- 賃貸契約の解除
上記に加えて各種手続きや届出が生じる場合もあります。
飲食店の廃業とは
飲食店の廃業とは、広義では理由にかかわらず事業活動を終了することです。株式会社東京商工リサーチの定義では「資産が負債を上回る資産超過」状態での事業停止と定義しており、官公庁などに「廃業届」を提出して企業活動を終えることを指します。廃業では以下のような法的な手続きや申告が必要です。
- 廃業の意向を税務当局や商業登記所など関連機関に通知する
- 所得税、消費税、社会保険料などの税金や社会保険料の精算をする
- 関連する書類や申告書を税務当局や商業登記所に提出する
- 資産や負債を清算する
- 商業登記所に廃業手続きをして法人登記簿からの抹消手続きをする
閉店と廃業の違いは、主に法的な手続きと関連する要件にあります。閉店では法的な要件は少なく、廃業では多くの法的な手続きが必要です。
飲食店の廃業については、こちらの記事をご覧ください。
飲食店の閉店方法
飲食店における「閉店」と「廃業」の違いについて紹介してきました。ここからは、飲食店の閉店方法とそれぞれの特徴、メリット・デメリットを説明します。
業態を変える
現在の店舗営業から、飲食店の業態を変えて新たなコンセプトやメニューを導入し営業を続ける方法です。
メリット
既存の店舗や設備を有効活用しつつ、新しい市場や顧客層を開拓できます。
デメリット
新たな業態への変更には既存の顧客離れのリスクが伴い、再ブランディングや設備の改修などの費用がかかる場合もあります。
造作譲渡する
店舗の造作物(設備や内装)を譲渡し、新規の経営者がそのまま店舗運営に使用する方法です。
メリット
譲渡する側(店舗を閉店する側)では原状回復などの負担がなく、費用や手間を削減できます。(※造作譲渡をするには貸主の許可が必要です)
デメリット
造作譲渡先が見つからない場合や、譲渡価格が低い場合には損失が生じる可能性があります。
造作譲渡で閉店するメリットやデメリットについてはこちらの記事をご覧ください。
店舗を売却する
造作譲渡は店舗の造作物(内装や設備)を譲渡する方法ですが、店舗売却は店舗や事業を完全に売却して新たなオーナーに譲渡する方法です。
メリット
一括で店舗や事業を手放し、資金や負債から解放されるうえ、即金化が可能です。
デメリット
売却価格が思ったより低い場合や、売却先が見つからない場合には損失が生じる可能性があります。
店舗売却の流れやメリットやデメリットについてはこちらの記事をご覧ください。
第三者へ業務委託する
飲食店の運営を第三者に委託し、自分は経営から離れる方法です。
メリット
運営責任を委託し、自らは関与しないことで時間や労力を節約できます。運営方法が変わることにより、状況が改善する可能性があります。
デメリット
委託先の信頼性や能力によっては、店舗のイメージや売り上げ低下といった悪影響をおよぼす可能性があります。
M&A・事業譲渡する
ほかの事業者や企業との合併・買収をする、または事業を完全に譲渡する方法です。
- メリット
買収企業のブランド力や資源を活用し、事業の再生や成長が期待できます。売却価格が高くなる可能性があります。
- デメリット
合併や買収では交渉や手続きが複雑であり、適切なパートナーを見つけることが難しい場合があります。
閉店のための作業一覧
閉店の際、一般的に必要とされる作業を紹介します。
個人事業での飲食店の閉店作業
作業項目 | 内容 |
---|---|
金融機関への相談 | 借入金のある場合には処理について金融機関と相談する |
リース契約の清算 | リース品がある場合は契約を清算する |
賃貸契約の解除 | 店舗の賃貸契約がある場合は契約解除手続きを行う |
従業員への通知 | 解雇の30日以上前に通知する |
各行政機関への届出 | 保健所、警察署、税務署など開業時に届出した機関で手続きをする |
各保険についての手続き | 雇用保険、健康保険、労働保険などの手続きをする |
取引先への連絡 | 仕入れ先、納入先などに連絡する |
リース品の返却 | ビールサーバー、おしぼりウォーマーなどの返却と契約解除をする |
原状回復工事 | 店舗を借りた時の状態に戻すための工事を行う。賃貸借契約書に基づき、スケルトン状態での貸借では内装や設備などすべてを取り外したスケルトン返しで、居抜きの場合には借主が増設した部分を撤去する |
光熱関連の解約 | 電気、ガス、水道などのサービスの解約手続きをする |
法人での飲食店の閉店作業
登記作業は「解散」と「清算」の2段階に分かれます。解散は、法人登記の抹消や法人格の消滅を行う作業のことです。清算は、清算人が債権の回収や債務の返済をして残った財産を分配する作業です。
解散日から2週間以内に解散と清算人選任の登記が必要であり、総会で清算事務報告の承認を受けてから2週間以内に清算結了の登記を行います。
法人登記の申請書は、法人の形態によって提出書類が異なります。最新の書式は法務局ホームページから入手可能です。
形態 | 提出種類 |
---|---|
株式会社 | 株式会社解散及び清算人選任登記申請書・株式会社清算結了登記申請書 |
特例有限会社 | 特例有限会社解散及び清算人選任登記申請書・特例有限会社清算結了登記申請書 |
持分会社 | 合同会社解散及び清算人選任登記申請書・合同会社清算結了登記申請書 |
解散公告は法定期間内に官報に掲載する必要があり、債権者への個別の公告も必要です。解散日までの事業年度の確定申告を解散日から2カ月以内に行い、残余財産確定日から1カ月以内に最後の確定申告を提出します。
飲食店の閉店についてはこちらの記事をご覧ください。
飲食店の閉店で店舗売却した事例とメリット
飲食店の閉店方法は複数あると紹介してきましたが、なかでも店舗売却は「一括で店舗や事業を手放し、資金や負債から解放されるうえ、即金化が可能」というメリットがあります。閉店で損失を抑えて得をした事例として、店舗売却した飲食店経営者の声を紹介します。
事例1.閉店の不安や懸念が払しょくされ、安心して閉店できた
店舗形態:大阪市北区/居酒屋、25坪、売却金額800万円
「過去に店舗を居抜きで売却した際、リース物が含まれていたことが後々わかってトラブルになったことがあり不安でした。トラブルにも強いという店舗流通ネットを知人より紹介してもらい、契約条件や造作物の調査と説明を十分してもらったため安心して任せられました。また、賃貸人との交渉を代行してもらったため負担がなく助かりました」
- 店舗売却のメリット
「解約予告賃料や原状回復費用が削減でき、内装、外装はそのままで店舗売却したため800万円で売却できました」
事例2.閉店の費用負担が軽減し、利益を確保できた
店舗形態:東京都渋谷区/ラーメン屋、12坪、売却金額550万円
「身体を壊して閉店を決め、複数の業者に相談しましたが、設備も古かったこともあり、なかなか居抜きでの購入希望者が見つかりませんでした。店舗流通ネットに相談したところ、即決での売却ができました。購入希望者を見つけてくれる(マッチングタイプ)ではなく直接店舗を買い取ってくれるので、想像以上に早く希望額での売却ができてとても満足しています。賃貸人との交渉も一手に引き受けてくれてスムーズな売却ができました」
- 店舗売却のメリット
「閉店時に必要な費用の540万円が不要となり、売却利益550万円が生じたため、返却保証金の100万円と合わせて合計650万円の利益が出ました」
可能な限り負担を軽減できる閉店方法を検討しよう
飲食店の閉店にはいくつかの種類がありますが、自社にとって最適かつ損のない方法を検討する必要があります。どのようなケースでも飲食店閉店にはさまざまな手続きがあるため、自力ですべて行うのはとても大変です。
店舗流通ネットの店舗売却サービスならば、一部作業の代行が可能なことに加え、多くの実績と経験からトラブルを回避できるため安心です。飲食店の閉店でお悩みの際には、店舗流通ネットの退店サポートをぜひご活用ください。まずは、ご自身のお店がいくらになるのか無料査定してみませんか?