飲食店の開業までの流れとスムーズに準備を進めるためのポイントを解説
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飲食店の開業を考えていても、初めてであれば実際どのような流れになるのかわかりにくいものです。全体像をつかまずに開業準備をスタートしてしまうと、思わぬところでつまずき、遅れが生じてしまう可能性もあります。
今回は、飲食店開業の流れを説明するとともに、スムーズに開業するためのポイントも解説します。
目次
飲食店を開業するまでの流れ
飲食店開業のおおまかな流れと、対応する時期の一般的な目安は以下のとおりです。
1.コンセプト決め:開業12ヵ月前
店づくりの軸を決定します。具体的な内容としては、業態、店舗が提供する料理や雰囲気、サービスなどの要素を統一したテーマやアイデア・構想が挙げられます。
2.事業計画書の作成:開業11ヵ月前
事業の内容、売上予測、家賃・材料費・人件費などのコスト試算、営業収益に関する推計をまとめた事業計画をたて、事業計画書としてまとめます。
3.物件探し:開業8ヵ月前
事業計画やコンセプトに合う店舗を探します。
4.開業資金の調達:開業5ヵ月前
資金計画に沿って必要な資金を集めます。自己資金、融資、補助金・助成金の活用などの方法があります。
5.開店準備:開業4ヵ月前
メニュー開発、店舗内外装工事、人材採用、オペレーション策定などの開店準備を進めます。
6.各種届出・手続き:開業1ヵ月前
飲食店開業に必要な手続きとして、開業届の提出、営業許可の申請、消防・警察への届出や手続き、社会保険手続きなどがあります。
詳細は次項以降で解説します。
飲食店のコンセプトを決める
飲食店のコンセプトとは、店舗全体のイメージや提供するメニュー、サービスに関する独自性や魅力を表現するものです。
コンセプトの決定にあたっては、いつから、どこで、どのような顧客層に対して、どんなメニューを提供するのかに着目し、どういった店づくりをしたいのかを具体化します。
大まかなコンセプト例としては、カジュアルダイニング、高級ダイニング、居酒屋、カフェ、エスニック、オーガニック、ビーガン、シーフード、屋台系、ファミリー向けレストランなどがあります。
事業計画書を作成する
飲食店開業に事業計画は不可欠です。事業の目的や目標、戦略などを明確に定め、事業の方向性を示します。この事業計画を具体的に記述した書類を事業計画書といいます。ここでは、事業計画書の作成について解説します。
事業計画書を作成する目的
事業計画書は次のような目的で作成します。
開業資金を具体的に把握する
事業を立ち上げるためには、物件取得費や設備費、人件費、当座の運転資金などまとまった資金が必要です。事業計画書を作成することで、これらの資金を具体的に把握することができます。
サービス内容の具体化
競争の激しい飲食業界で生き残るためには、独自性のある魅力的なメニューやサービスが必要です。事業計画書を作成することで、自店のサービス内容を具体的に検討し、競合店との差別化の方法を明確化することができます。
融資、補助金・助成金申請の準備
金融機関からの融資や、公的機関への補助金・助成金を申請する場合は事業計画書の提出が必要です。事業計画書によって、事業の実現性をアピールでき、資金調達の可能性を高めることができます。
事業計画に必要な要素
飲食店の事業計画の要素としては、以下のようなものがあります。
ビジョンとミッション
事業の方向性や目標を明確に定義し、どのような価値を提供するか、どういった顧客層に焦点を当てるかなどを示します。
コンセプトの説明
飲食店の独自性や特徴を説明します。
運営計画
開店時間、従業員の配置、サービスの流れなど、店舗の日々の運営方法を示します。
財務予測
開業時の投資額や運転資金、売上予測などを計算し、収益性を評価、予測します。
資金調達
自己資金や銀行融資、補助金・助成金の活用など、どのような方法でどれくらい資金を調達するか明確にします。
時間軸の設定
事業計画の実行スケジュールを策定し、進捗を管理するための目標地点を設定します。
事業計画書作成について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
飲食店の物件を探す
融資を受ける際に、具体的なイメージを示せるように、物件探しを進める必要があります。以下は、物件探しで重要となる要素です。
- 立地
- 競合店分析
- 人口・ターゲット層
- 建物の状態と設備
- 家賃と費用
- 居抜き物件かスケルトン物件か
- 法規制と許認可
- 将来の展望
- 交渉余地
物件探しについては、以下の記事で詳しく解説しています。
飲食店の開業資金を準備する
開業資金の平均は1,000万円前後ですが、店舗の規模や立地によって変動があることに留意する必要があります。開業資金の主な調達方法は以下のとおりです。
- 自己資金
返済の必要がなく、資金使途を問わず自由に使えるのが特徴です。しかし、開業時にはまとまった金額を用意する必要があるため、自己資金だけでは開業資金を賄うことは難しいでしょう。
- 銀行融資
銀行や金融機関から融資を受ける方法です。開業資金や運転資金を借り入れられますが、事業実績が十分でないと審査に通らない可能性も考えられます。
- 助成金や補助金の申請
地方自治体や国の支援策によって提供される資金のことです。返済義務がないのが特徴です。受給条件を満たし審査を受ける必要があり、誰でも利用できるわけではない点に注意が必要です。
- クラウドファンディング
オンラインプラットフォームを通じて、多くの人々から小額ずつ資金を集める方法です。多くの賛同が得られない場合は、目標金額に到達しない可能性があります。
- 家族や友人からの借入
家族や友人から資金を借りて調達する方法もありますが、融通が利きやすい反面、細かい条件をしっかりと決めておかないと将来トラブルに発展するリスクもあります。
- 公的融資機関の利用
日本政策金融公庫などの公的融資機関から資金を借り入れる方法です。低金利での融資や保証制度の活用が可能ですが、審査を受ける必要があります。
開業資金の詳細については、以下の記事をご覧ください。
飲食店の開店を準備する
飲食店の開店準備には、主に以下のような項目があります。
スタッフの採用・教育
- 求人募集:シェフ、ホールスタッフ、レジ係など
- スタッフ教育:サービスの基本ルールやメニューに関する知識、顧客対応、マニュアル作成など
備品・設備の用意
- キッチン用具、食器、カトラリー、家具などの備品の用意
- POSシステムやレジスターなどの販売管理システムの用意
- キッチン内の設備(オーブン、冷蔵庫、調理台など)の用意
メニュー開発
- 顧客層や店のコンセプトに合った料理の開発
- 価格設定、食材の入手経路の確立
内外装工事
- 店内のレイアウト設計
- カラースキーム、照明などを活用したコンセプトに合った空間づくり
飲食店開業までの各種届出・手続きについて
飲食店開業に関わる届出・手続きは以下のとおりです。カッコ内は届出・手続き先を示します。
届出・手続き先 | 詳細 |
---|---|
開業届(税務署) | 法人でなく個人で経営する場合。 |
食品営業許可申請(保健所) | 食品衛生責任者の取得および飲食店の営業許可を保健所で取得 。 |
火を使用する設備等の設置届(消防署) | 収容人数30人以上の店舗で火気を使用する場合。防火管理者の設置が必要。 |
深夜における酒類提供飲食営業開始届出書(警察署) | 午前0時を過ぎて酒類を提供する飲食店の場合 。 |
風俗営業許可申請(警察署) | 客に接待行為を行う飲食店などの場合。 |
社会保険の加入(日本年金機構・社会保険事務所) | 法人で従業員を雇用する場合 。 |
労災保険の加入(労働基準監督署) | 従業員やアルバイトを雇用する場合。 |
雇用保険の加入(公共職業安定所) | 従業員を雇用し、31日以上の雇用予定と週の労働時間が20時間以上になる場合。 |
飲食店をスムーズに開業するポイント
飲食店をスムーズに開業するためのポイントとしては、以下が挙げられます。
- 十分な計画を立てる
ビジネスプラン、予算、顧客層、メニュー、マーケティング戦略などを明確にし、想定される不測の事態にも対応できるように予防策を考える必要があります。
- 物件探しを慎重に行う
物件は売上に直結する重要な要素であるため、安易に決定するのは禁物です。居抜き物件の活用、店舗専門の業者に相談するなど、多角的な視点で検討します。
- 初期費用を抑える
競争の激しい業界で経営を存続させるためには、できるだけ資金に余裕が必要です。そのためにも、可能な限り初期費用を抑える工夫が求められます。
飲食店開業後の成功は物件選びと資金確保が重要
飲食店開業は、手順さえ踏めば予定どおりに進めることは難しくありません。問題は、開業後に経営を軌道に乗せ、安定運用を続けられるかどうかです。閉店という事態を招かないためにも、開業に向けた入念な計画と検討が必要です。
特に物件選びと資金の確保は、飲食店経営に大きく影響を与える要素です。集客に有利な物件探し、余裕をもった資金調達について、しっかりと考えておくことが大切です。
店舗流通ネットの「ショップサポート」は、優良物件探しから契約、内装や厨房機器の準備までを店舗流通ネットが受け持つため、資金に余裕をもたせた出店が可能です。オフバランス型の店舗展開をお考えの方や、飲食店開業に不安のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。