2019年10月、店舗流通ネットの子会社として設立されたTRNインベストメント・マネジメント株式会社(以下:TIM)は、親会社である店舗流通ネットが培ってきた外食ビジネスでの経験を活かし、店舗ビルを投資対象とした不動産ファンドビジネスを展開しています。
現在は、金融機関との連携を図りつつ3本の不動産ファンドの組成・運用を行い、駅前好立地の店舗ビルに特化した不動産投資の面から、店舗や街の活性化につなげるための事業に取り組んでいます。
今回は、TIMの事業を改めてご紹介するとともに、ハードルが高いとされる店舗ビル投資のファンドビジネスへ挑んだ会社設立の経緯や今後の展望まで、取締役の見武に語ってもらいました。
目次
TRNインベストメント・マネジメント(TIM)とは
TIMは、金融商品取引業ライセンスのもと、“駅前好立地の店舗不動産”という他に類を見ない、ニッチなアセットタイプを投資対象としているファンド運用会社(AM会社※)です。3,800件を超える出退店支援を行ってきた店舗流通ネットのノウハウを最大限に活かし、新たな不動産投資機会の創出を通じて、街を活性化させるべく誕生しました。
店舗流通ネット、TRNシティパートナーズ(以下、TCP)をはじめ、グループ間で連携しながら土地・物件の仕入れや遵法性に則した是正工事、リーシング、建物管理と、一貫したサポートを施す業界初となるポジションを確立しています。
TIMでは、これまで不動産投資において、管理や運営面の難易度の高さから光を浴びてこなかった“店舗不動産”への投資機会を投資家へ提供し、「明日の街をもっと楽しくするための街づくり」への貢献を目指し、事業を展開しています。
※AM:アセットマネジメントの略称、投資家に代わり資産の運用・管理を行うこと
<不動産ファンドの仕組み>
TRNインベストメント・マネジメント(TIM)が店舗不動産投資へ挑んだ背景
ここからは、TIM取締役である見武洋造へのインタビューを通し、会社設立の背景から今後の展望までを詳しくご紹介させていただきます。
2020年店舗流通ネット入社。大手信託銀行で長年に渡り従事してきた不動産流動化業務の経験を活かし、TRNインベストメント・マネジメント(TIM)の店舗不動産ファンド事業の立ち上げメンバーとして尽力。さらに、同社の社内体制整備のほか、店舗不動産ファンドビジネス全般の推進に携わる。2022年10月、TIM取締役へ就任。
――TIM設立の経緯を教えてください
親会社である店舗流通ネットでは、創業以来、飲食店オーナーへ向けた出退店を支援する事業を展開してきました。また、それらの事業に伴い店舗不動産の取得や開発、テナントリーシング、建物管理等を一気通貫して行うことで駅前好立地に所在する店舗不動産をワンストップで運営する事業体制を構築してきました。
一方、従来のファンド業界では、商業不動産ファンドとしてのカテゴリは存在していたものの、投資対象として郊外型のショッピングモールや銀座のような超一等地で高級ブランドが入居する商業ビルへの投資がメインでした。そこで、投資家に新たな投資機会を提供できないかという発想のもと、TRNグループが長年培ってきたノウハウを活かした駅前好立地の店舗不動産を投資対象とした不動産私募ファンドを立ち上げることを目的に、2019年10月、運用会社としてTIMが誕生しました。2020年12月には金融商品取引業の登録が完了し、現在に至っています。
――商業ビル投資の中でもハードルの高い“店舗ビル”のアセットに特化した投資を行う理由を教えて下さい
一番は、店舗流通ネットが業界で唯一無二の存在として長年にわたり培ってきた“飲食店を中心とした店舗不動産に関するノウハウ”を最大限発揮でき、他社には真似できない分野であるという自負があるからだと考えております。
不動産ファンドは、ファンド運用会社だけで運用できるものではありません。高いリターンを安定的に投資家に配当するためには、建物管理を信頼できるPM(プロパティマネジメント)・BM(ビルマネジメント)会社に委託する必要があります。特に、当社が投資する店舗不動産は、駅近で希少性があり資産価値が高い一方、運営や管理面においては手間暇の掛かるアセットタイプになります。このようなアセットの運営ノウハウを有する会社は、大手不動産管理会社を含めてもわずかしかありません。
しかし、当社においては、高いリーシング実績、テナント管理や設備トラブル対応等のノウハウを有するPM・BM会社をグループ内に擁しているため、お互いの強みを活かしながら円滑なファンド運用が可能になります。
その他、店舗不動産の遵法性に課題を抱える物件も多いですが、TRNグループで物件を取得した上で、是正工事を行い、法的治癒を完了した後にファンドに組み入れることにより遵法性の健全化を図ることができるため、地域や社会に貢献していることを実感しています。
コロナ禍の中で店舗不動産ファンド3本を組成
――これまで店舗ビルアセットに対して事業をおこなってきた中で、印象に残った事例・エピソードと事業に対するやりがいを教えて下さい
2022年3月の小田急線・本厚木駅前開発ファンドの組成は、TRNグループの店舗不動産に関するノウハウを結集した、ファンド事業の真骨頂となった印象的な事例になります。同駅北口ロータリーに面する銀行だったビルを取得し、本厚木駅前の新たなランドマークとなる商業ビルへと生まれ変わらせる、TRNグループ初となる取り組みになります。
現在は、2024年2月の竣工に向けて建設工事中で、並行してリーシング活動も進めています。竣工後は、TRNグループが残した足跡として、本厚木駅前で新しい風景を見られるのが今から楽しみです。
この開発ファンドを含め、現在TIMでは3本の都市型店舗不動産私募ファンドを運用していますが、やはり、ファンドが組成された時は毎回やりがいを感じています。ファンド組成は、投資家、レンダー、証券会社、信託銀行、法律事務所、会計事務所のみなさまをはじめ、多くの関係者の方々が集まり、各種調整・交渉を行いながら、多くの契約書類の取りまとめや運用計画の策定、その他膨大な作業を経て成就します。
ファンド組成を通じて、店舗不動産と投資家様との橋渡しができたということは、投資家様に組入れ不動産を評価され、当社のファンドに共感していただいたわけですから、これまでの苦労が報われ、喜びもひとしおです。TIMが運用中の3ファンドは、いずれもコロナ禍にもかかわらず組成され、その後も稼働率を含め順調な運用実績を残しています。
他に類を見ない『ワクワク感』溢れる店舗不動産ファンドの組成を通して、明日の街をもっと楽しく
――今後、TIMはどのような展望を描いているのでしょうか
TRNグループが扱う駅前好立地の店舗不動産には、オフィスや住宅といった伝統的なアセットタイプや最近人気の急増した物流施設等にはない「ワクワク感」があると感じています。店舗不動産であれば、実際に現地に赴いて実際に食べたり飲んだり買い物したりできることで、投資を検討する際にも身近に感じることができると思います。
これからも様々な街や駅に立地する店舗不動産を組み入れたファンド組成により「ワクワクする」投資機会を提供し続け、より多くの投資家様に共感していただけるようにしていきたいと考えています。また将来的には、大手機関投資家水準の投資アセットタイプとして広く認知度を確立し、“駅前好立地の店舗不動産投資と言えばTRNグループ”と言われるようなファンドに成長させていきたいですね。
最後にステークホルダーの皆さまに改めて申し上げたいのは、TIMは、店舗不動産ファンド事業を通じてTRNグループが有する機能を発揮し、大きく次の3点から社会貢献をしているということです。
1つ目は、店舗不動産ファンドというユニークな投資機会を提供することにより、金融マーケットに新たな風を送り込むこと。2つ目は、遵法性に課題を抱える店舗不動産に是正工事を施し法的治癒を行うことで、繁華街における店舗不動産の健全化に資すること。そして、3つ目はコロナ禍で弱った街が元気と賑わいを取り戻す一助となり、TRNグループのスローガン『明日の街、もっと楽しく。』を実践することです。
引き続きTIMのファンド事業をご支援賜りますようお願いいたします。