「企業ビジョン」とは、企業が目指す将来像や理念、価値観を明確にしたもので、企業の行動指針や戦略立案に関わる重要な要素です。社会環境が変化するなかで持続的な成長を実現するためにも、ビジョンは重要な指標となります。
私たちTRNグループも、2021年以降「2040年までに100の事業、100人のトップ」というビジョンを掲げ、店舗運営事業者に向けたソリューション提供企業を目指すべく、多角的なビジネスモデルを展開してきました。
この記事では、TRNグループが2000年に創業して以来、どのような道のりを経てこのビジョンを掲げるに至ったのか。その誕生の背景と実現に向けた取り組みを各社ごとにご紹介します。
目次
失敗から学び、改善に挑み続けた先に生まれたビジョン
TRNグループは、初期投資を抑えた出店サービスという唯一無二のビジネスモデルを確立させ、2000年の創業以来「飲食店の業務委託型ビジネス」を創ったパイオニアとして、飲食店を中心に3,800件を超える出退店をサポートしてきました。
しかし、この実績に至るまでの道のりは決して順風満帆とは言えませんでした。2013年時点では、事業展開の失敗による赤字額が27億円にも達し、年間利益はおよそ1億円にとどまっていました。この赤字を解消するには、単純計算で27年もの歳月を費やさなければならない状況だったのです。
そこで、私たちは事業展開に「店舗」という一本の軸を通し直します。全社員の知恵を集め、累計損失を5年で一掃する計画を立て、その実現に向けて全力で取り組みました。このような危機的状況を乗り越えられたのは、ひとえに共に走り続けてくださったお客様、お取引先の皆様のご協力あってのことでした。
この経験が基となり、「店舗」という点を私たちの事業によって線につなげることで、街を活性化し、未来の明るい街づくりを目指すことを決意します。私たちの事業によって、よりよい社会をもたらすことが、ステークホルダーの皆様に対する感謝の還元だと考えたのです。
さらに、企業理念である「社会から必要とされる企業、社員が誇れる企業」という価値観を追求。ステークホルダーの皆様に、「TRN グループがあってよかった」と思っていただける企業になるべく、2021年に新たなビジョン「2040年までに100の事業、100人のトップ」を掲げるに至りました。
ビジョンの達成が企業理念の実現へ
掲げたビジョンを達成し、「社会から必要とされる企業」となるためには、すべてのステークホルダーの潜在ニーズに応えられる、専門性の高い事業を創出していくことが重要です。そのために、店舗を軸とした各専門の分野に特化した子会社の設立と、ビジョンを共有し合える企業をグループへ迎え入れることに踏み出します。
2023年4月現在のTRNグループは、店舗流通ネット株式会社を基盤に、TRNシティパートナーズ株式会社、TRN Capital Management株式会社、TRNインベストメント・マネジメント株式会社、株式会社アニーの5つの会社から形成され、グループ内のシナジーを最大化させながら専門性の高い事業・サービスを展開しています。
2019年10月 TRNインベストメント・マネジメント(TIM)設立
店舗流通ネットで展開してきた店舗不動産事業を店舗リース事業に次ぐ第二の柱とし、投資家の皆様に新たな投資機会を提供できるよう、業界内でも珍しい”店舗ビル”のアセットに特化したファンド運用会社としてTIMを設立。効率的な利益向上を目指し、資産の保有と利用とを分離するオフバランス手法を確保するために、アセットマネジメント機能が担える金融商品取引業のライセンスを取得しました。
2020年11月 TRN Capital Management(TCM)設立
店舗リース事業、店舗不動産事業に次ぐ第三の柱として店舗ソリューション事業の展開を加速させるために、投資育成事業・CVC事業・M&A仲介事業を担うTCMを設立。TRNの外食ビジネスの経験を活かし、未来ある中小企業を収益性のある企業へとスケールアップさせることで、街の活性化を促進することを狙いとしています。対象企業に対して投資だけで終わらず、投資後に投資先の長期ビジョン実現へ向けた活動を共に行うことで、TRNグループの未来を担う経営人材の育成にも繋がると考えています。
2021年3月 株式会社アニー グループイン
店舗という事業領域において、現経営陣が長期ビジョンの実現意志を有すること、過去業績において税前利益1億を実現していること、直接的な顧客接点(ダイレクトセールス)基盤を有すること。これらの3点から、飲食小売業における相互発展の可能性を感じ、株式会社アニーがグループイン。税前利益10億円までのスケールアップ支援を通じて、2040年までに税前利益1,000億円の長期ビジョンを実現することを目指しています。
2022年4月 TRNシティパートナーズ(TCP)設立
TIMが不動産事業を推進するなかで、アセットマネジメント以外の不動産事業に必要なプロセス(開発、コンストラクションマネジメント、リーシング、売却、プロパティマネジメント、ビルマネジメント)の専門性をより深化させる必要性を感じ、TCPを設立。不動産の取得から是正工事、テナント誘致までを一貫して行い、街の発展に寄与します。
また、グループ内での展開だけではなく、これまでに10社のパートナー企業と協業し、AI開発やフードロス削減サービス運営など、多角的な視点から店舗運営事業者にとって有用なソリューションを提供してきました。現在もパートナー企業を募り、オープンイノベーションへの取り組みを加速させ、100の事業創出へ向け、着実に歩を進めています。
そして、100の事業を創出するためには、「100人のトップ」の輩出が不可欠です。ここでのトップとは『業務スキル』、『ヒューマンスキル』、『経営スキル』を兼ね備えた事業家を指します。各事業のプロフェッショナルを育成することで、社員の潜在能力を引き出し、企業理念の「社員が誇れる企業」の実現に近づくことができると考えています。
社会貢献の永続を目指して
私たちは、これまで意図せずしてクローズドイノベーションを中心に事業活動を行ってきましたが、現在は長期的なビジョンである「100の事業、100人のトップ」の実現へ向け、アグレッシブな事業ポートフォリオの変革に取り組んでいます。このビジョンは、企業理念を追求するための手段であり、その先には「2040年以降、ESG企業として社会貢献を永続させる」という次なるビジョンが待っています。
ビジョンの実現が社会の活力となり、ステークホルダーの皆様とより良い「明日の街」を創れるよう、TRNグループはこれからもグループ内のシナジーを最大化させながら、より強固なビジネスモデルを構築し、持続可能な成長を目指します。
最後に、代表取締役会長TRNグループ統括の石井より、ステークホルダーの皆様へメッセージです。
代表取締役会長TRNグループ統括 石井 実より皆様へ
『社会から必要とされる企業になることで社員が誇れる企業となる』という企業理念の追求は、2040年長期ビジョンの実現によって実感できると確信しています。
企業理念の追求も長期ビジョンの実現も、決して一人では成し得ません。まずは、役職員との間に『信用の土台』を築き上げ、顧客、取引先、株主、社会というステークホルダーの皆様に対しても、実績を着実に積み上げながら『信用の土台』を構築します。
信頼は応えてこそ充実感を味わうことができます。変化の激しい時代ですが、身を任せるのではなくチャレンジをし続け、『明日の街、もっと楽しく。』というコーポレートスローガンを念頭により良い未来を創造します。