TRNグループは、2000年の創業以来、「飲食店の業務委託型ビジネス」のパイオニアとして、飲食店を中心とした店舗の出退店をサポートしてまいりました。そして、皆様のご支援のおかげでついに出店サポート店舗数が4,000件を突破しようとしております。この節目を迎えるにあたり、共に歩んでくださったステークホルダーの皆様には、改めて御礼申し上げます。
当記事では、TRNグループの歴史を振り返りながら、過去の挑戦と失敗、そこから生まれた2023年現在の私たちの考え方やこれからの展望を、代表取締役会長兼TRNグループ統括 石井 実の言葉とともにお伝えいたします。
目次
2000年~2004年 | がむしゃらに走り抜いた創業期
店舗流通ネットは、2000年に「フューチャークリエイト株式会社」として設立されました。創業者と私は、リース業のパイオニアである「オリックス」を凌駕する企業を築くという大志を抱いていました。今やオリックスは私たちの想像以上に成長し大企業となりましたが、現在でも超えようという気持ちに変わりはありません。
私たちはまず、リース業のなかでも業界特化型の『店舗リース』に焦点を当て、飲食業界をターゲットとしたリースの仲介事業を始めました。当初は居酒屋の厨房機器のリースなどを行っていましたが、テナントが倒産した際のリース品の移設費用や保管費用が嵩み、事業としての効率性に課題を感じました。そこで、「物件を借りる人を探す」のではなく「当社が提供する店舗で経営をしてくれる人を募集する」という方向へシフトし、このアプローチにより、2002年に現在の主力サービスである業務委託型の出店支援サービス「ショップサポートシステム」が誕生しました。
飲食店の1店舗目を開業するには、多くの資金と時間が必要です。個人で出店する場合、大家さんとの信用関係がないため、物件を貸してもらえないことも多々あります。ショップサポートシステムは、そのような飲食店出店希望者様の課題を一挙に解決できるよう設計されました。多くの利用者様からご好評のお声をいただき、「出店希望者のニーズに応えられる商品である」と、ますます商品への自信が深まったのを覚えています。
同年、社名もビジョンに即して「店舗流通ネット株式会社」へ変更し、翌月には創業からの目標であった株式上場を達成しました。順風満帆であったかのように見えるかもしれませんが、創業から上場まではあまり記憶にないほどがむしゃらに働いた4年間でした。
2005年~2010年 | 事業の多角化による倒産の危機
その後、創業者の退職を経て、私が代表取締役に就任。当時は事業の拡大を図るため、不動産事業、投資事業、企業買収などに着手し、それに伴い管理部門、ストック部門、フロー部門を主要な役割として分社化する3社体制をとっていました。
しかし、あっという間に倒産の危機に陥りました。理由は、軸のない部門最適、個人最適な事業を展開してしまったこと、それによりリスクの分散が適切に行われていなかったことにあります。
そして私たちは、2008年から2010年にかけて、未収入金の圧縮や空家賃の抑制など、さまざまな対策を講じ、自力での立て直しを試みました。しかし、最終的には株主である株式会社ハークスレイからの支援を受けるという形で、事業を再構築することとなります。
この極めて困難な期間が、現在のコロナ禍において適切な対応を可能にする基盤作りの助けとなりました。どのような状況でも全体最適を念頭に置き、冷静かつ戦略的なアプローチを大切にする姿勢を、現在も強く意識しています。
2011年~2014年 | 上場廃止から累計損失一掃へ向けた転換期
2011年、私たちはハークスレイの子会社として加わり、上場を終える決断をしました。この時、上場とは株主から期待され信頼されるということであり、さらに広い意味では「社会から必要とされている存在」であることの証なのだということを実感するとともに、そのことの重大さを深く理解しました。また、失望は株主だけでなく、社員やパートナー、顧客にも及ぶことを心に留め、この過ちを二度と繰り返さないという意志を強く持ち、私たちは現在も「社会から必要とされる企業、社員が誇れる企業」を理念として掲げながら、その価値を追求し続けています。
そして、これまでの事業展開を熟慮した上で、全体最適を重視し各法人の合併を決断しました。この選択は、店舗リース事業という創業時の原点に立ち返り、事業の選択と集中を図る一環としての意味も含んでいます。店舗を軸としたビジネスに集中する中で、これまでに築いてきた差別化戦略の価値を再確認し、その成果としてついに黒字転換を果たしたのです。
この時期、何よりも嬉しかったのは、社内に良い活気が戻ってきたことです。倒産の危機や上場廃止という試練を乗り越えてきた社員たちからは、辞めずに乗り越えたことへの自信と、共にした仲間への信頼、信じてきた商品の価値に対する確信が感じられました。私自身も、社員が誇れる企業に一歩近づけたことに心から安堵し、会社をよりクリアな状態にするため、直ちに累積損失27億円の一掃計画を立てました。
2015年~2023年 | 2040年長期ビジョン達成に向けて
累積損失27億円の解消は、2013年から2018年にかけての5年間で実現することを決意し、言行一致を実現。壮大な計画を練ったわけではなく、シンプルに自信を持って商品を販売し続けた結果です。創業から紆余曲折ありましたが、私たちは自分たちの商品に自信がなくなったことは一度もありません。
もう一つ成功要因として挙げられるのは、頭の中で描いていた”2040年までに100の事業、100人のトップの創出”という長期ビジョンを役職員へ共有し、意識の統一を行ったことです。全体最適を追求するためには、共通の目標を持つことが何よりも重要であると感じていました。
累積損失を一掃した2019年から事業展開は益々加速します。長期ビジョンへの取組みの一環として、店舗を軸とした専門分野に特化した子会社の設立及び、ビジョンを共有し合える企業のグループインへと踏み出しました。なぜなら、すべてのステークホルダーのニーズに応えるためには高度な専門性を持つ事業を創出することが必要であり、ビジョンを達成することが「社会から必要とされる企業」、そして「社員が誇れる企業」という企業理念の実現に繋がると考えたからです。現在は、ビジョン達成に向けて、グループ全体でのシナジーを最大化させながら、多角的なビジネスモデルを展開しています。
“競争”から”共創”を楽しむTRNグループへ
過去を振り返ると、競争心が強く、部門や個人の成功が経営の焦点であった時期が確かにありました。しかし、創業から重ねてきた失敗と成功、そして皆様の助けとご理解によって、それは全体最適を追求する姿勢へと変わっていきました。この場をお借りして、心より感謝申し上げます。この感謝の気持ちを未来に繋げ、逃げずに現実と向き合う勇気と謙虚に学び続ける姿勢を忘れず、私たちは2040年に向けたビジョン達成のため、さらに加速してまいります。”競争”するよりも”共創”することの楽しさを噛み締めながら、100の事業と100人のリーダーを育て、社会とステークホルダーに貢献する存在となることをお約束します。今後とも皆さまにはご支援いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
石井 実 (イシイ ミノル) / 代表取締役会長TRNグループ統括
2000年、フューチャークリエイト株式会社設立当初からアドバイザーとして参画。2002年、正式入社し、店舗リースを中心とした営業に尽力。2005年、代表取締役社長に就任し、店舗を軸とした新たな事業を展開。2020年、代表取締役会長TRNグループ統括就任。
TRNグループの2040年に向けた長期ビジョンである「100の事業、100人のトップの創出」について、詳細な内容については以下の記事をご参照ください。