2024年12月1日、TRNグループがプロデュースした名古屋最大級のエンタメスポット「ナイトマーケット名古屋栄住吉(TREND MALL栄)」が、ついにグランドオープンしました。名古屋の中心地・栄エリア住吉に位置するこの施設は、「食べて、飲んで、遊んで、語って!」が一度に楽しめる、新感覚の複合施設です。
本記事では、同施設3Fに「ASOBIBAR」「名古屋屋台恋物語(YATAKOI)」「カラオケスナック アンタと私」の3店舗を展開された株式会社HICの代表取締役社長・西田祐也様に、これまでのご経歴や3店舗複合型店舗への熱い想い、さらに店舗経営を通じて描く未来の街づくりへのビジョンについてお話を伺いました。
目次
株式会社HIC創立に至るまでに培われた”店舗運営”の力
-株式会社HICを立ち上げるまでの、西田社長のご経歴を教えてください。
19歳のとき、アルバイト先の飲食店で「店長にならないか」と声をかけられたことをきっかけに、社員としてのキャリアをスタートしました。当初は店舗運営に関する知識がほとんどありませんでしたが、分からないことがあれば上司に積極的に質問し、学んだことをすぐに実行に移しました。結果として、長年赤字に苦しんでいた店舗の売上を、わずか9ヶ月で倍増させるという成果を達成しました。
この経験が評価され、新たに任されたミッションは、他店舗の月間売上を約400万円~500万円に引き上げることでした。異動後、約1か月で目標を達成し、その後わずか5か月で売上を700万円まで伸ばしました。この成果をきっかけに「売上立て直し担当」として、不採算店舗の改善を任されるようになります。
21歳でエリアマネージャーに昇進し、25歳では直営全店舗を統括するスーパーバイザーに就任。さらに27歳で部長職に昇進し、フランチャイズ店舗の管理を含む幅広い業務を担いました。21~27歳までの約8年間は、とにかく全力で働き抜いた時期でしたね。
やがて、フランチャイズ店舗を譲り受ける機会を得たことを契機に独立を決意しました。この店舗もまた業績不振に陥っていましたが、譲り受けた翌月には前月比180%の売上を達成しています。
–「数字で成果を出す」という点で、特筆すべき実績をお持ちですが、不採算店舗の立て直しについて、具体的にどのような取り組みを行ったのでしょうか?
まず、従業員に自分のビジョンを共有し、全員に納得してもらうことからスタートしました。ビジョンに対して疑問や不満があれば、対話を重ね、必要に応じて見直しも行いました。このプロセスを通じて、全員が同じ方向を向いて取り組める環境を整えています。
そのうえで、売上が低迷している原因を徹底的に洗い出し、課題を明確化した後は、改善策をPDCAサイクルに落とし込みます。
さらに、不採算店舗では広告費をかけられないため、お店の前でチラシを配るといった基本に立ち返り、一つひとつ地道な努力を積み重ねました。こうした着実な取り組みこそが、最終的に店舗の立て直しを可能にしたと考えています。
異なる3店舗から生まれる新たなコミュニティ – 初の3店舗複合型店舗出店
–今回、当社が運営する「ナイトマーケット名古屋栄住吉(TREND MALL栄)」の3Fに、「ASOBIBAR」、「名古屋屋台恋物語(YATAKOI)」、「カラオケスナック アンタと私」の3店舗が集結した複合店を出店されました。それぞれの店舗の特徴と、初の3店舗複合店を出店された経緯について教えてください。
「ASOBIBAR」はカラーバンドで人と人が繋がるアミューズメントバー、「名古屋屋台恋物語(YATAKOI)」は屋台を囲んで交流が楽しめる相席居酒屋、そして「カラオケスナック アンタと私」は昭和の雰囲気を感じながら歌謡曲を楽しむカラオケスナック風バーです。
「ASOBIBAR」と「名古屋屋台恋物語(YATAKOI)」は既に複数店舗を展開しており、特にコロナ禍で希薄になった人々の繋がりを取り戻すことを目指し、新たなコミュニティの場を提供してきました。一方、今回新たに加わった「カラオケスナック アンタと私」は、昭和の懐かしい雰囲気や歌謡曲を通じて、世代を超えたコミュニケーションの場を生み出したいという想いから誕生しました。親子ほど年齢差のある方々が交流したり、「アンタと私」で知った曲が、ご家庭での会話のきっかけになるかもしれません。 今回、3店舗複合型という新しい形に挑戦した背景には、「ナイトマーケット」を単なる飲食の場にとどめず、もっと多くの人々が集い、交流できるコミュニティスペースとして活用していただきたかったという思いがあります。異なるコンセプトを持つ3店舗を融合することで、より多様な人々が繋がり、新たな交流の場が広がることを目指しています。
-店舗のコンセプトに合わせて、内装やメニューも徹底されていますよね。
そうですね。内装はかなりこだわりました。店舗の中はもちろん、「カラオケスナック アンタと私」への入口は、秘密のドアのようでかなりワクワクしていただけるのではないでしょうか。また、フードにも力を入れていますので、各店舗ならではのメニューを是非楽しんでいただきたいです。
-どのような方が利用されているのでしょうか?
「ASOBIBAR」はアミューズメント要素が備わっているため、男性のお客様はグループで、女性のお客様は2名で来られる方が多く、やはり楽しくワイワイ過ごしたいという方々が多い印象です。「カラオケスナック アンタと私」は、カップルで来られる方や、お一人で来られる方も多く、カラオケに行く感覚で楽しんでいただいているのだと思います。「名古屋屋台恋物語(YATAKOI)」は、相席居酒屋初心者のお客様も多く、屋台というテーマが、相席へのハードルを下げ、気軽に足を運んでいただける要因になっていると感じます。
また、ナイトマーケットでは3店舗を行き来できる「デイパスプラン」をご用意しており、曜日によって異なりますが、価格帯は7,000~8,000円となっているため、弊社の他店舗と比べて年齢層はやや高いように感じます。本当に様々なお客さまが来てくだっており、ナイトマーケットの3店舗はもちろん、徒歩5分の場所にある1号店とも行き来を楽しんでいただけることを嬉しく思います。
-土日や平日問わず、非常に賑わっていると伺っています。ご来店いただいたお客様に楽しんでいただくために工夫されていることはありますか。
当店では、お客様のその日の気分や目的を表現できる「カラーバンド」や「コースター」をご用意しています。たとえば、「今日は友達だけで楽しみたい」、「知らない人と交流したい」、「とにかく飲みたい!」など、それぞれの想いを視覚的に伝え合うことで、他のお客様とも気持ちよく過ごせる環境を提供しています。
さらに、来店時には「バチャる」というアプリを活用していただいており、入店・退店時にチェックイン・チェックアウトを行うことで、滞在時間やアプリの利用状況を数値化しています。この数値に基づき、アプリの背景色が変化し、スタッフは退店時にその色を確認し、お客様の状態に応じたサービスやフォローを行っています。
私たちとって何より大切なのは、お客様に楽しく、安全に過ごしていただくことです。そのためにできることを地道に実行し、着実に成果を積み重ねています。こうした取り組みが実を結び、先日の日曜日には閉店時間の午前3時になっても、50人ほどのお客様が残っていらっしゃいました。住吉エリアの多くのお店が午前1時には閉店する中で、こうした状況は本当にありがたいことだと感じています。
西田社長が描く、未来の人々が繋がる街づくり
–不採算店舗の立て直しと同じく、お客様のニーズをしっかりと把握し、地道な努力を重ねるところに、西田社長ならではのやり方を感じます。同業態でアプリを活用されている会社さんも多いのでしょうか?
確かに、他の店舗でも自社アプリを活用しています。しかし、私たちのアプリは単なる店舗専用ツールにとどまらず、将来的には『外飲みマッチング』のプラットフォームとしても活用できるようにしたいと考えています。
現在、20万人ほどのユーザーにダウンロードしていただいており、特に繁華街にいる方々に多く利用されていると予測します。このアプリを通じて、例えば「今、住吉にいるのですが、どなたか一緒に飲みませんか?」という投稿をすると、近くにいる人が反応してくれるような仕組みを作り、これを「外飲みマッチング」のアプリとして展開することで、さらに多くの人々に交流の場を提供できると考えています。
–先ほど、徒歩5分の場所に1号店があるとおっしゃっていましたが、なぜこの場所に出店を決めたのでしょうか?
正直、住吉エリアは場所的には厳しいと感じていたため、本来は別のエリアに出店を考えていましたし、御社からの提案も一度はお断りをしていました。しかし、ただ出店するのではなく、「ナイトマーケット」という施設として、御社と一緒にブランディングを行い、名古屋周辺の方々をワクワクさせることができたら、住吉に新しい風を吹かせることができるのではないかという可能性も感じていました。
元々、大型複合店舗の展開は視野に入れていたため、プロモーション費を折半して一緒にブランディングを進めていきませんかという提案を逆にこちらからさせていただき、御社にも快く快諾していただけたことで、出店を決断するに至りました。
また、住吉エリアの状況には不安を感じていたものの、ナイトマーケットの向かいにクラブや大型の飲食店がオープンすることも決まったため、住吉エリアを”落ち着いた大人が楽しめる街”として一緒に盛り上げていけるのではないかと、今はとても楽しみにしています。
–西田社長からご提案いただいプロモーション施策は、今後の弊社の不動産事業にも生かしていきたいと思っています。大変勉強になりました。物件のご紹介だけではなく、一緒に「ナイトマーケット」を作り上げていただきましたが、弊社の良かったところ、悪かったところなどもお聞かせいただけますか。
悪かったところとして挙げると、工事の進行において、もう少し各テナントのことを配慮した工程スケジュールで進めていただけたらと思いました。例えば、建物正面のシンボルとなる看板が、グランドオープンの日に間に合わなかったことです。お客様が来店する大切なタイミングで看板がない状態というのは、おそらく来客のチャンスを逃してしまっていたかもしれません。
一方で、良かった点としては、施設を一緒に盛り上げていこうという提案を快く受け入れていただき、LP制作や広告運用に関してもスムーズに進められたことです。御社の柔軟性にはとても感心しました。また、最初に物件を紹介いただいた時点では入居する気はなかったのですが、名古屋支店営業の山末さんが、「どうしたら入居していただけますか?」という一言をかけてくださり、その言葉で風向きが変わりました。もしあの一言がなければ、おそらく入居することはなかったと思います。さらに、やりとりを続ける中で御社の熱意も伝わってきて、私たちも本気で取り組まなければならないと感じ、想いが変わっていきました。
また一つご提案ですが、今後、年に一度でも構いませんので、テナントとビル側が一体となり、施設としての企画を一緒に考える「テナント会議」のような場を設けていただけると素晴らしいと思います。
–工事の面ではご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。いただいたご意見は社内で共有をさせていただき、改善の上、今後も様々なご提案をさせていただけたらと思います。また、会議も是非開催し、さらにナイトマーケットを盛り上げていけたらと思います!最後に、ナイトマーケットの3店舗へ来られるお客様へのメッセージをお聞かせください。
3店舗集まっているからこそ、年齢も目的も違ったお客様が集まる、ここならではのコミュニティの場ができたと思っております。私たちにとって初の3店舗複合店という挑戦であり、今は試行錯誤しながら運営をしております。これからも、お客様にとって、安心・安全に楽しんでいただける場となれるよう、全力を尽くしてまいります。ぜひご友人、ご家族、カップルはもちろん、お一人でも気軽に遊びにいらしてください!皆さまのお越しをお待ちしております。
-本日はありがとうございました!今後ともよろしくお願いいたします。