招き猫 右手は金運、左手は何を招く?あなたに合った福招く色、教えます!
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いきなりですが、「招き猫」をちょっと思い浮かべてみてください。
頭の中に浮かんだ招き猫が挙げている手は、右手ですか?左手ですか?
右手を挙げている招き猫も、左手を挙げている招き猫も存在しています。
では、なぜこんな質問をしたかというと、実は招き猫が挙げている手によってご利益の意味が変わってくるのです。お店を経営されている方に限らず、一般企業やご家庭でも招き猫を置いている方は多いのではないでしょうか。
しかし、自分の意図とは全然違うものを招いていたのだとしたら、それはもう一言で「残念!」ですよね。そんなアチャーを無くすために、今回は招き猫についてお話したいと思います。
目次
右手で招くもの、左手で招くもの
まずは、冒頭で質問した右手と左手の違いから。一般的に右手を挙げていれば「お金」を招き、左手を挙げていれば「人」を招くといわれています。
なぜ右手が「お金」なのか・・・その理由は明らかではありませんが、一説に「たいていの人が利き手である右手でお金を扱うから」というものがあります。
また、招き猫の挙げている手の長さが耳を越しているものを「手長」と呼びます。長ければ長いほど遠くの福・大きな福を招き寄せる力がある、といわれていますが、あまりにも手が長すぎるとバランスを崩し、破損しやすいという難点もあります。
これは、欲張り過ぎると碌な目に遭わないぞという戒めかもしれません。
持っているお金で時代が分かる!?
招き猫と言えば小脇に小判を抱えているイメージですが、実は最もポピュラーな常滑系招き猫が成立したのは昭和20年代後半。それ以前のものは、小判を持っておらず、首に鈴をぶら下げているだけのとてもシンプルなものが中心でした。鈴が段々と小判に変わり、小判の値段も時代が進むにつれて「千両」「万両」「百万両」・・・挙げ句の果てに、「億万両」と変わっていきます。時代が進むにつれて欲深くなるといいますか、欲望が露骨になっていったようです。
金額の他にも、小判に「開運」と描かれたものや「福寿」と描かれているものも存在します。最近では、外国人観光客向きなのでしょうか「$」マークが描かれた小判を持った招き猫も出てきていたりします。まさに、時代の流れが小判一つで分かりますね。
色が違えばご利益も変わる招き猫
小判の金額が変わると共に、招き猫本体もカラフルになっていることをご存知ですか?昔は、招き猫と言えば白!違う色と言ってもせいぜい黒!と、2色しか存在しなかった招き猫ですが、最近は風水ブームもあいまって、かなりカラフルに、バリエーション豊富になってきています。
勿論色が違うということは、ご利益も違うということ。ここでは色ごとのご利益を紹介したいと思います。
●一番ポピュラーな「白」
白い招き猫のご利益は、オールマイティな「開運招福」。
万事に福をもたらしてくれるということですから、最も目にする機会が多いのも、成る程納得です。
●一見恐く思える「黒」
黒い招き猫のご利益は、「魔除け」「厄除け」「家内安全」。
恐いなんて甚だしい、実は悪いものから守ってくれる守り神です。俗説ですが、夜に目が利く点が買われて守り神になったともいわれており、京都三条・檀王法林寺にまつられている神様「主夜神(しゅやじん)尊」の遣わしめであるともいわれています。
●それしかないですよね~の「金」
金色の招き猫のご利益は、誰もが納得の「金運」。
飲食店の開店祝いでも贈られることが多いとのことですが、お店に飾るのもおめでたい感じが出て良いかもしれません。
●美的センスを少々問いたい「赤」
赤い招き猫のご利益は、「健康長寿」。
なぜ健康長寿かと言いますと、ワクチンや予防接種等が開発される以前、疱瘡(天然痘)が死に至る病気として恐れられていたため、疱瘡神が嫌う赤色が健康長寿になったとのこと。
●明らかに近代生まれの「ピンク」
ピンクの招き猫のご利益は、「恋愛成就」。
言わずもがな、言わずもがなですよね。中には、小判の変わりにハートを抱えていたり、2匹の招き猫が仲良く寄り添ったりしているものもあるようです。
●風水の考えを色濃く受け継いでいる「黄色」
黄色の招き猫のご利益は、「金運繁栄」。
風水を少しかじったことがある人であれば既に周知の事実ですが、風水の世界では、黄色は金運を呼ぶ色とされています。また、自然哲学の思想である陰陽五行説では、黄色は「土」の色であり、「土」は「金」を生み出すとされています。つまり、挙げた右手の長さが耳を越えている黄色い招き猫を飾れば、金運最強!ということですね。
意外と知らない招き猫と遊女の関係
デデン、またしても質問です!皆様“薄雲太夫”という響きに心当たりはありますか?江戸時代を生き抜いてきた方、絶世の美女好きの方でしたら思い当たる方もいるかもしれません・・・(えっ!?)
“薄雲”は、江戸時代中期、新吉原三浦屋で最高位の“太夫職”についていた遊女の名前です。遊女といっても、太夫職というのは非常に格式が高く、今で言う大スター、まさに雲の上の存在でした。
この“薄雲”は大変な猫好きで、1匹の三毛猫を溺愛していてどこに行くにも離さず、猫を抱いて道中し、愛猫のために友禅の布団を作り、さらに緋縮緬(ひちりめん)の首輪には純金の鈴をつけるという溺愛っぷり。この度を越えた愛玩ぶりに、「薄雲は猫に魅入られた」と噂が立ってしまい、挙げ句の果てに愛猫は化け猫と間違われ殺されてしまいます。
吉原あげての葬式を執りおこない、猫塚を作って丁寧に葬ったものの、薄雲の嘆き悲しみようは尋常ではありませんでした。そんな薄雲を慰めようと、贔屓客の一人であったお大尽*1が長崎から伽羅(きゃら)の名木を取り寄せ、愛猫の姿を彫って薄雲に贈ります。すると薄雲は大喜びし、道中の際もどこに行くにも離さず持ち歩きました。
この話がたちまち広まり、猫の模造品を作る者が現れ、浅草の歳の市で売り出すと大人気となったのです。特に全国の水商売を営む人々に愛用されるようになり、これが「招き猫」の起こりであると「近世江都著聞集」には書かれています。
*1:1.大金持。富豪。2.遊里で大金を使う客。
そもそも、遊女の異名を「ねこ」(“遊女”=“寝子”=“ねこ”=“猫”)と呼ぶのに因んで、特に花街や飲食店などで「招き猫」が愛用されるようになったとも言われています。
周囲から隔離された遊郭で遊女達が招きたかったのは、ただの「お金」だったのか、それともそんな世界から救い出してくれるような「人」だったのか・・・。「猫は傾城の生まれ変わり」ということわざがあるくらい、猫と遊女は切っても切れない存在なのです。
さてさて、招き猫の種類や意味、由来などを色々書き綴ってきましたが、少しでもお役に立てれば幸いです。目的にあった招き猫を飾って、幸せな福をお招き下さい。
参照:『招き猫百科』著作:荒川千尋 日本招猫倶楽部 ㈱インプレス
Ms.小わっぱ